

受験問題は麻布がリードしていると書いたが、灘中の入試問題に惚れ込む塾関係者は多いし灘の入試問題のすばらしい、高度な難しさは、つねにこの業界で注目されている。しかも生徒数に対する東大合格率は灘が全国トップレベルを維持している。私は取材して、灘と神戸女学院のファンになってしまった。昭和10年代に建てられた校舎はすばらしく、ノスタルジックな雰囲気をたたえていた。灘はかつて栄えた酒造家たちの出資により彼らの師弟が行く学校として創立された。一部のかぎられた裕福な子どもたちの学校なのである。また神戸女学院ははじめから女子のための高等教育を目指して、アメリカのラドクリフ大学を卒業した女性たちによって創立されている。19世紀なかば欧米では女子大学が創立されているが、それに遅れること半世紀で日本にも創立されたのだ。科学や数学などを教えることを目標にしていた。当時の女子教育が実学に向かっていたのとおよそ異なる。私は神戸女学院の創立の精神にもおおいに啓発された。それに圖田山のうっそうと繁る木立の中にある校舎がまたいいんだなあ。このほか兵庫県には甲陽もある。大阪には星光、関西学院、京都には洛星、奈良には東大寺などもあり、それぞれ歴史のある学校である。私立中学の伝統はむしろ関西のほうがあるのかもしれないと思った。浜学園は灘合格者数をつねに誇ってきて、現在も数字的にやや水増ししているなどと悪口をいわれながらも伸びてきた。